大手メーカーの中間決算にみる、住宅業界の現状と今後(前編)業界ニュース,市場動向,ハウスメーカー
大手住宅メーカー8社(※)の2015年度中間決算が出揃いました。今回と次回は、各社の2015年度上半期の実績と通期の業績予測をもとに、住宅市況の現状と今後について解説します。
(※積水ハウス・大和ハウス・積水化学工業・ミサワホーム・ パナホーム・住友林業・旭化成ホームズ・三井ホーム。 積水ハウスは1月決算、その他は3月決算)
■ 2015年度上半期の実績、反動減の回復遅く各社苦戦
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
今回は、各社の2015年度上半期の
販売・受注実績を見ていきましょう。
まず、戸建の販売戸数(棟数)です。
上半期の8社合計での販売数は、前年同期比▲11.1%でした。
2014年度の上半期は8社合計で前年比▲3.7%だったため、
前年度よりマイナス幅が拡大したことになります。
メーカー別の実績を見ても、8社すべてが前年比マイナスです。
積水ハウスが▲20.6%となったのをはじめ、
積水化学・ミサワホーム・住友林業・三井ホームが
2ケタのマイナスとなっています。
最もマイナス幅が小さいのがパナホームで、▲1.5%でした。
上半期の販売数は、2014年度下半期の受注状況が大きく影響します。
2014年度の受注はご承知の通り、
消費増税駆け込みの反動減が長引いたことで、
各社とも年間を通じて苦戦が目立ちました。
この上半期の販売実績は、
前年度の厳しい受注環境をそのまま反映する結果となっています。
一方、アパートの販売戸数(棟数)は、
8社合計で前年同期比▲4.4%でした。
メーカー別では、3社が前年比プラス、5社が前年比マイナスでした。
住友林業が+16.0%と2ケタ増を記録したほか、
大和ハウス・旭化成ホームズも前年比プラスとなっています。
全体では戸建と同様に前年比マイナスではありますが、
2014年度の上半期が前年比で+25.0%と
非常に好調だったことを考えると、やや勢いは落ちているとはいえ、
引き続き好調を維持していると言えるでしょう。
相続増税の影響で、都市部・富裕層を中心にオーナーの動きが
活発であったことを反映しています。
それでは、上半期の住宅検討者・建築検討者の動きを反映した、
受注の実績はどうでしょうか?
戸建・アパート合算での受注戸数(棟数)は、
開示している7社(積水化学工業を除く)の合計で、
前年同期比+3.2%という結果です。
’14年度の中間決算が前年比▲16.7%だったため、
2年前と比べると▲13.5%程度の水準となります。
2年前の’13年度上半期は消費増税駆け込みのピークであり、
単純比較することはできませんが、
反動減からの回復は、
当初の想定以上に時間が掛かっていることがわかります。
メーカー別の実績を見ると、
大和ハウス・住友林業・積水ハウス・パナホームの4社が
前年比プラスとなっていますが、
伸び率トップの大和ハウスが+8.2%と、
2ケタ増となったメーカーはありません。
戸建住宅の受注数では、
積水ハウス・大和ハウス・住友林業の3社がプラスで、
残る4社がマイナスと、
前年割れしたメーカーのほうが多いという結果です。
さらに、分譲住宅を除いた注文住宅のみの受注数では、
前年比でプラスとなっているのは
住友林業・大和ハウスの2社のみで、
残る5社はマイナスという、極めて厳しい結果です。
2014年度上半期の受注が
7社すべて前年比マイナスだったことを考えると、
この上半期の戸建の販売環境も、
依然として冷え込んでいたことがわかります。
一方で、アパートは7社のうち5社がプラスとなっています。
大手住宅メーカーの大半は、
注文住宅を中心とした戸建の苦戦を、
比較的堅調なアパートでカバーするという構図になっています。
次回は、各社の2015年度通期の業績予測を検証します。
(情報提供:住宅産業研究所)