住宅市場動向調査からユーザーの実態を知る(後編)商品・トレンド,市場動向,太陽光/省エネ/ZEH関係
住宅を取得するにあたり、ユーザーは様々な選択を行います。注文住宅か分譲住宅か、戸建かマンションか、新築か中古か、また施工を依頼する業者はどこが良いかなど、多くの選択の末に住宅取得に至ります。
国土交通省の住宅市場動向調査では、ユーザーが何を選択したかや、選択理由についても調査しています。
■ 住宅タイプ別に見る住宅選択のポイント
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住宅取得にあたって、取得した住宅の他に比較検討した
住宅の種類を聞いた質問の回答を見ると、
注文住宅取得世帯は他の注文住宅と比較検討したというように、
同じ住宅の種類同士で比較検討した世帯が最も多くなっています。
同じ住宅の種類との比較検討を除いて見ると、
以下のような傾向が見られます。
【取得した住宅】 【比較検討した住宅】
・注文住宅 分譲戸建住宅、中古戸建住宅
・分譲戸建住宅 注文住宅、分譲マンション
・中古戸建住宅 分譲戸建住宅、中古マンション
・分譲マンション 分譲戸建住宅、中古マンション
・中古マンション 分譲マンション、中古戸建
注文住宅を検討している人は、
戸建にこだわって比較しているということが分かります。
また、分譲戸建住宅では、前年度までは注文住宅と中古戸建住宅とで
比較検討している世帯が多く、注文住宅と同様に
戸建にこだわりを持つ人が多かったと見られます。
26年度では、中古戸建住宅よりも分譲マンションを検討した割合が
高くなっており、新築へのこだわりが強くなっていると考えられます。
比較検討している住宅の種類は、競合と捉えることもできるため、
注文住宅を扱う会社であれば、同じ戸建でも注文住宅が一番良いと
思ってもらえるような対策を準備しておくことが必要です。
次に、その住宅を選択した理由を聞いた調査結果を見て行きます
(住宅の種類別の最多回答項目)。
・注文住宅 信頼できる住宅メーカーだったから(48.7%)
・分譲戸建住宅 新築住宅だから(65.2%)
・分譲マンション 住宅の立地環境が良かったから(59.8%)
・中古戸建住宅 価格が適切だったから(74.5%)
・中古マンション 価格が適切だったから(81.1%)
・民間賃貸住宅 家賃が適切だったから(56.0%)
注文住宅を検討している人には、
自社が信頼できる会社だということをアピールすることが
効果的と言えます。
そのためには、社歴や財務状況を伝えるほか、
営業マンの誠実な対応によって、
住まいづくりを任せても安心と思ってもらう必要があります。
さらに、初回接客などで「住宅会社を選ぶ際には、
信頼できる会社を選ぶと良い」という基準を刷り込んでおくことも
有効です。
分譲戸建住宅の場合は、新築を求めているユーザーが
増えてきていますが、もしかしたら元々新築志向だった人が、
マンションや注文住宅と比較検討し、
価格が手頃な分譲戸建住宅に流れたということが
あるのかもしれません。
分譲マンションの場合は、通勤の利便性や暮らしやすさといった、
その立地だからこそ実現できる生活を提案すると効果的です。
中古戸建や中古マンションの場合は、
価格のお得感を感じてもらうことが重要なので、
立地などとも組み合わせ、新築では叶わない暮らしを想像させる
工夫をしておくと良いでしょう。
■ 省エネ設備は「二重サッシ・複層ガラス」と「太陽光」が人気
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住宅市場動向調査では、高齢者対応設備や省エネ設備についても
調査しており、各設備の整備率を知ることができます。
高齢者対応設備である「手すり」、「段差のない階段」、
「廊下などが車椅子で通行可能な幅」及び「全ての設備」の整備率は、
注文住宅(建て替え)が最も高くなっています。
60歳前後で建て替えを行う人が多いため、老後や介護の問題を考慮し、
高齢者設備を導入する人が多いと考えられます。
省エネ設備の整備率を見ると、住宅取得時における
「二重サッシ又は複層ガラスの窓」の割合は、
注文住宅で78.6%となり、過去5年間は8割前後の高い水準で
推移しています。
次いで、分譲戸建住宅で50.9%、
分譲マンションで47.2%となっています。
また、「太陽光発電装置」の整備率は、
注文住宅で右肩上がりとなっており、
前年度比4.5ポイント上昇の42.7%、
分譲戸建においても上昇傾向で前年度比4.1ポイント上昇の
15.4%となっています。
これらのことからも、設備面では高齢者対応設備や
省エネ設備の需要が高まっており、高齢者対応設備に関しては、
必要に迫られるか、近い将来のことを考えて
設置する人が多いようです。
また省エネ設備については、
ユーザー、業者ともに必要だという考えが広がっており、
特に戸建住宅を中心に今後も設置率が上昇していくと予想されます。
今回ご紹介したのは、住宅市場動向調査の一部に過ぎません。
国交省のホームページには、全ての結果を見ることができますし、
過去の調査結果から現在までの推移を調べることもできます。
自社のターゲットであるユーザーについてのデータが豊富にあるので、
お客様対策を見直すためにも参考にしてみてください。
(情報提供:住宅産業研究所)