2015年住宅新商品トレンド(後編)商品・トレンド,ハウスメーカー
前回は、富裕層向けデザイン住宅の傾向についてお話ししました。富裕層は、金融資産に加えて自宅以外の不動産を所有している可能性も高く、アパート建築など資産活用の需要も期待できます。
単純に賃料収入を得るだけでなく、長く資産価値を保てる建物や、社会貢献できる施設を検討するオーナーも多いはずです。また入居者の側でも、、、
晩婚化によって増えている高所得単身者、
持家にこだわらず立地のステイタス性や利便性を優先する
ファミリー層、サービスの充実した施設への住み替えを検討する
高齢富裕層など、ハイグレードな物件を必要とする人が増えています。
大和ハウスが名古屋市で手掛けた大規模賃貸マンションでは、
英語対応可能なコンシェルジュに、入居者専用天然温泉、
フィットネスルーム、バーベキューができる中庭などを備え、
認可保育園や有料老人ホームを併設。
学生向けシェアルームから、1つの住戸内に2LDKと1Rを設けた
二世帯向け住戸まで、多世代にわたる幅広い入居ニーズに対応します。
シェアルーム入居者の共用設備として、約530平米の
コミュニケーションスペースを設け、大型のリビングやダイニングに
加え、シアタールーム、ライブラリー、フットサルなどができる
スペースを完備しているとのことです。
個人の土地活用としては、このうちの要素を1つ取り入れるだけでも、
周辺物件と十分に差別化できるポイントとなりそうです。
もちろん、「ハイグレード賃貸」の最低条件として、
遮音性や断熱性などは戸建並みの仕様とし、
タイル張りなどで重厚感ある外観を整えることは必須でしょう。
■ 女性向け提案はますます充実
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既に住宅提案のデフォルトになっているとも言える
女性向け提案も進化を続けています。
住友林業では、女性客の声から商品コンセプトを抽出し、
女性社員が中心となって「konoka」という商品を開発しました。
アンケートやインタビューの結果、
最重要ポイントとして抽出されたのがリビングです。
女性にとってリビングは、家族団欒以外にも、
アイロンかけや雨天の洗濯物干し、
化粧などの身支度をする場所となっています。
その反面、リビングにはなるべく生活感を持ち込まず、
センスの良いキレイな空間として維持したいという
要望も多くあります。
このジレンマを解消するために、様々な提案が盛り込まれました。
・食料備蓄や資源ごみ用の大収納をキッチン奥に配置
・玄関脇に家族専用の身支度・お出かけ動線を確保
・2階の浴室・洗面脇に様々な家事や仕事ができる作業空間を配置
・リビングと連続させたテラスリビングで+αの寛ぎを演出
リビングの見せ方にかかわるポイントとして、
インテリアにも重点が置かれ、
女性から支持される3つのスタイルを提案しています。
・ナチュラル ノルディック
北欧家具と木の素材感を組み合わせた飽きのこないスタイル
・フレンチ シック
ヨーロピアンクラシック調の家具・照明とアンティーク小物で演出
・レトロモダン
風合いを活かした内装とヴィンテージ家具で
経年美化を楽しむスタイル
リビング、インテリア以外のキーワードとしては、
「愛着」、「自分」なども挙げられています。
住友林業グループの強みを活かし、
木の質感にこだわった化粧カウンターや、
花と緑を楽しむガーデンスタイルの提案などで、
「愛着の持てる家で、自分らしく暮らしたい」という
女性のニーズに対応していきます。
■ 女性向け賃貸は家事代行やペット見守りも
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大和ハウスでは、2011年から女性向け防犯配慮型賃貸住宅の開発と
PRに注力し、累計9万戸を突破、
同社の賃貸住宅の7割を占めるに至っています。
今年4月に発売したのは「D-room SW Version-Up 5」。
名前の通り、新たに5つのサービスやアイテムを導入して、
多忙な女性のライフスタイルをサポートする商品です。
・郵便受けと宅配ボックスを一体化したサービスクローク
・浴室でスマホの音楽を楽しめる天井スピーカー
・生ごみ処理が簡単なディスポーザー
・掃除や洗濯などの代行サービス
・外出先からペットを見守る留守番カメラ
サービスクロークは、留守中の荷物の受け取りに便利なだけでなく、
自宅の玄関先で宅配業者と対面することに不安を感じる
女性にも喜ばれる設備です。
同社の女性向け賃貸では、これまでもワンランク上の防犯配慮に加え、
メイクやおしゃれを楽しめる洗面化粧台やウォークインクローゼット、
アクセントクロスを用いた内装などで差別化を図ってきました。
今回のバージョンアップでは、さらに女性のニーズを深掘りし、
「自分のための時間」を充実させる工夫が盛り込まれています。
防犯やインテリアだけでは差別化が難しい状況になっているようです。
(情報提供:住宅産業研究所)