14年度住宅商品から読み解く15年度のトレンド予測(前編)商品・トレンド,市場動向,ハウスメーカー,太陽光/省エネ/ZEH関係
2014年度は消費増税に伴う駆け込みの反動減で集客・受注共に苦しい年となりました。
そのような市場環境のためハウスメーカーを中心に住宅の新商品発売はやや少なめでしたが、一方で義務化まで5年となった新たな省エネルギー基準に向けたZEH商品や、増税後も動き続けている富裕層に向けた邸宅商品等が発売されるなど、新たな切り口の商品が登場しています。
今回は2014年に登場した商品を振り返ることで、2015年の商品トレンドについて考えていきたいと思います。
■ ZEHへの動きが加速、V2Hも検討レベルに
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2014年度の最も大きかった動きは、
やはり省エネ・創エネ関連の新商品です。
前年度に引き続きZEH(ネット・ゼロ・エネルギーハウス)は
大きな注目を集めており、3月には新年度のZEH支援事業の公募が
スタートしました。
補助金額は1件定額130万円で、一次募集は予算25億円。
昨年度は公募開始直後に申し込みが殺到、
枠が即座に上限に達したという経緯があります。
新年度分についても申し込みの集中が予測され、
標準化までの目標期間も残すところ5年と、2015年も
引き続き重要なトレンドになることは間違いありません。
ZEH対応型の商品は、ハウスメーカー間でも
早期から取り組みが始まっています。
ZEH対応商品を発売することで、「取り組みが進んでいる会社」と
アピールできるだけでなく、ある程度パッケージ化された
商品をベースに商談を進めるため、商談期間が短くて済む
というメリットがあります。
例えばミサワホームは2014年10月に、ZEH基準に対応した
小屋裏2階の規格住宅「スマートスタイルS」を発売しました。
北海道仕様の壁厚・断熱材や高断熱サッシ+高断熱
Low-e複層ガラスの標準採用によって、外皮平均熱還流率を示す
UA値は0.60W/m2・KとZEH基準をクリアしています。
規格と名の付く通り、間取りは
10のプランから選択する仕組みです。
10のプランに絞ることで、
・熱の影響を受けやすい東西面の開口面積を抑える
・壁面に比べて断熱性能の高い屋根の面積を
大きくすることで熱損失を抑える
・室内に風を取り込み、天井に溜まった熱をトップライトから排出
・南面に設置したバルコニーをルーバー状にして、通風性確保
以上のような高い環境性能を標準で
得られる仕組みになっています。
大屋根のプランとすることで大容量の太陽光発電システム
(PV)搭載を可能にしたほか、SNS付HEMS、制震装置MGEO、
将来のV2Hに対応する先行配管も標準仕様としています。
出来上がっているプランをベースに商談を進めることで、
早期のクロージングが可能になるだけでなく、
パッケージ化により性能の高いものを安価に
供給できるという点はポイントだと言えます。
電気自動車から住まいに電力を供給するV2H
(ヴィークル・トゥ・ホーム)についても、
本格的な販売がスタートしています。
セキスイハイムは他社に先駆けて、2014年5月に
V2H商品「VtoHeim」を発売しました。
これまでも各ハウスメーカーではV2H商品自体は
発売されていましたが、電気自動車(EV)の購入が
前提となるため採用のハードルが高く、あくまで
仕様として対応可能という程度のものでした。
しかしVtoHeimでは、
・PVからEVへの直接給電が可能
・車からの電力供給と、系統電力・PVからの
電力供給の同時使用可能
・EVからの給電の自動制御によりダブル発電にならず、
売電単価が下がらない
以上のように、従来商品では実現が難しかった点を
幾つもクリアしています。
V2HはEVを含めた導入費用が高く、何より
「発電した電力はそのまま売ることが最もお得」
だったことから、これまで住宅市場における販売実績は
ほとんどありませんでした。
しかし、PVの後押しをしていた高額な売電価格は、
今後更に引き下げられることが確実視されています。
既に「大容量を発電して電力会社に売る」という
ビジネスモデルは崩壊しかかっており、次の段階
「発電した電力をどう使うか」に差し掛かっています。
電気自動車を含めた購入価格だけ見れば、同じように
「貯めて使う」が可能な家庭用の蓄電池の方が安価です。
しかしEVは日産や三菱などEVを拡販したい自動車メーカーとの
連携によって、コストメリットを生み出せる余地も残っています。
VtoHeimのように使い勝手の良いV2Hシステムが登場したことは
インパクトが大きく、2015年は他メーカーからもV2Hを
切り口とした商品が多く発売されそうです。
(情報提供:住宅産業研究所)