ビルダーの集客戦略を考える(後編)集客・マーケティング,ハウスメーカー
集客拠点(ハード)を考えるときに、ビルダー・工務店の場合、総合展示場への出展はかなりハードルの高い手段であると言えます。
また、新たに単独展示場・ショールームを設けるのも、経費等を考えるとなかなか難しいのではないでしょうか。常設展示場を持っていなくても、分譲地に建てる期間限定の移動型展示場や、現場見学会だけで集客しているというビルダー・工務店は少なくありません。
では、現場見学会で効率よく集客し、そこからの成約を増やすには、どのような工夫をすれば良いでしょうか。
■ 「数」にこだわる集客
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
まず見学会集客の「数」を増やすことを優先するのであれば、
1回当たりの集客数を増やし、なおかつ何度も
リピート来場してもらうことを目指します。
そのためには、なるべく営業色を排除することです。
見学会会場に飲食の屋台や遊具を用意して
お祭りイベントの色を濃くし、社員全員参加で会場を盛り上げ、
住宅の商品内容よりも社員の人柄を伝えるような内容にします。
このような見学会でリピート来場を多く獲得しているケースは、
地域密着型のローコストビルダーでは少なくありません。
かといって全く営業しないというわけにはいきません。
来場者からの質問にはしっかり答えることは
当然ですが、こちらから営業的に話しかけなくても
自社の家づくりを理解してもらうために、
パネル展示で説明するという方法があります。
パネルの内容は、建物の構造や性能に関すること、
採用した間取りのポイント、会社の紹介、家づくりの進め方の
フローチャートなどが考えられます。
展示パネルの内容をクイズ形式にするという方法もあります。
会場内のクイズに全て答えればノベルティを
提供するようにして参加を促し、答え合わせをきっかけとして
自社の家づくりの説明をします。
例えば、「この家には4.2kWの太陽光発電設備を搭載していますが、
月の電気料金はどのくらい削減できるでしょう?」と出題すれば、
答え合わせの時に、太陽光発電搭載のメリットや自社の基本的な
省エネ性能の説明ができます。
あるいは、「キッチン回りに対する不満で最も多いことは
何でしょう」という設問からは、キッチンの収納の多さや
掃除のしやすさが説明でき、自社の標準仕様で選べる
キッチンのグレードの高さを伝えることができます。
こうして自社の差別化をした上で、
「家づくりの進め方」を説明することで、
次回アポを取る流れにスムーズに繋げることができます。
■ 「質」にこだわる集客
━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━━
見学会集客の「数」よりも「質」を高めることにこだわれば、
見学会を完全予約制にするという方法があります。
予約制とするメリットはいくつかあります。
・なんとなくの客が来ない=本気度が高い
・予約の時点で確実に個人情報を取得できる
・予約〜見学会の期間内に確実に情報を届けられる
・当日は1組に集中してじっくり接客できる
完全予約制とすると、1組当たり1時間では1日7〜8組、
2時間だと4〜5組が限度なので、土日2日間での集客は
10〜15組といったところでしょう。
通常の見学会よりも「数」を集めることはできませんが、
客層や商談内容の「質」を高めることができ、
結果として多く集めるよりも成約率は高まるはずです。
見学会以外にも集客イベントは様々考えられます。
家づくりセミナー、子ども向けの工作教室、
リフォーム設備の特価キャンペーン、OB客感謝祭など、
イベントの規模や内容は様々です。
いずれにしても、自社の住宅を売るためにどのような客層を集め、
またそのイベントからどのように次のステップにつなげるかの
仕掛けを考えることが、効果的な集客戦略と言えます。
住宅市場が徐々に上向くことを期待して、
新しい集客の仕掛けを考えてみても良いかもしれません。
(情報提供:住宅産業研究所)