次世代の暮らしを実現「最新エネルギー住宅」業界ニュース
電力大手7社は2023年6月から家庭向け電気料金の値上げを実施しました。
今後も電気料金やその他のエネルギー、
また物価高騰の先行きが懸念される中において、
省エネ住宅への期待がより高まっています。
住宅業界では光熱費の削減や環境配慮の観点からも
各社がその取り組みを加速させています。
今回は、住宅各社のエネルギー住宅の最新事例を紹介します。
EVから家電統合アプリまでセット販売
ヤマダホームズは、動く蓄電池としての電気自動車(EV)を標準搭載し、
太陽光発電システム、V2H、IoTシステムを使って、
「創エネ・蓄エネ・省エネ+エンタメ・健康・セキュリティ、つながるIoT」
を実現する近未来スタンダード住宅
「YAMADAスマートハウス」を10月14日に発売しました。
同商品は、蓄電池を積んだEV、6.56kWの太陽光発電システム、
V2Hの3つを標準で装備している戸建住宅商品です。
EVと住宅とを接続することで、安価な夜間の電力でEVを充電し、
EVに蓄えた電気を日中電力使用のピーク時に活用することができ、
電気料金の値上げが社会問題になる中、割高な電力使用を最小化します。
また災害時には2日程度自宅に給電することができるほか、
一般住宅と比較すると1ヶ月あたり約17,000円の光熱費と
ガソリン代が節約できるということです。
さらに、リンクジャパンのスマートホーム統合アプリ
「HomeLink」を標準装備しており、
家電や住宅設備の制御、ホームセキュリティやHEMS、オンライン診療、
ヘルスケアサービスなどを一つのアプリで利用することができます。
同アプリでは、
ヤマダホールディングスグループで提供している家電購入や、
リフォーム依頼、保険申し込み、車検申請などサービスに関しても
アプリを通じて申し込みをすることが可能ということです。
商品のグレードは、
「プレミアムモデル」、
「スタンダードモデル」、
「ベーシックモデル」
の3つのモデルを用意しています。
「プレミアムモデル」は、
3つの標準装備(EV・太陽光発電システム・V2H)に加えて、
4.9kWの蓄電池も設置されます。
また、「プレミアムモデル」、「スタンダードモデル」では、
金物工法を採用し、木材は檜を中心に使用しており、
断熱等級5のZEH仕様となるということです。
コストを抑えた「ベーシックモデル」には、
木造軸組工法を採用しており、断熱等級4となっています。
販売参考価格は税込みで、
「プレミアムモデル(施工面積32坪)」が3,980万円、
「スタンダードモデル(施工面積31坪)」が3,480万円、
「ベーシックモデル(施工面積29坪)」が2,980万円となっています。
ヤマダホームズでは、同商品のターゲットは20~30歳代の顧客ということで、
同社グループのファイナンス会社を通じてEV、太陽光パネル、V2Hも
すべて住宅ローンに組み込める長期50年ローンを新たに開発しました。
3世代が住み継いでいく住まいを提供していきたいという考えで、
初年度の販売目標は500棟としています。
水素住宅発売へ実証実験開始
積水ハウスでは、自宅で水素を作り住宅内の電力を自給自足する、
住宅メーカー初の水素住宅の実証実験を7月に開始しました。
この背景には、
「水素が手元に届く時代の到来を待つのではなく、
自ら水素を作り活用し、脱炭素化を推進すべき」
という積水ハウスの理念があります。
今回の実証実験では、
家庭での使用環境を見据えた安定・自立運転の検証を行い、
商品化に向けて課題を整理していくということです。
積水ハウスの総合住宅研究所内の実証検証棟において、
1.日中は自宅の屋根の太陽光発電パネルでエネルギーを作り消費
2.太陽光発電の余剰電力で水を電気分解して水素を作り
水素を水素吸蔵合金のタンクで貯蔵
3.雨の日などの日射不足時や夜間は貯蔵した水素を利用して
燃料電池で発電する
上記のシステムを構築し、
太陽光発電の電力による水素の製造や、
その水素を用いた燃料電池による発電においても
CO2を一切発生しないという日常生活のゼロカーボン化と、
電気の自給自足を目指しています。
同社では、2025年夏の水素住宅の実用化を目指し、
住宅のZEHの仕組みに新たに水素の利活用を組み込むことで、
環境性能や利便性、レジリエンス性などを向上させていく考えです。
(情報提供:住宅産業研究