令和は「アフターサービス」が必須の時代市場動向
追いつかない人材採用、住宅会社のアフター部門は火の車?
アフター対応は住宅会社にとって今や必須の取り組みです。
これは多くの住宅会社が認識していることではありますが、
体制を整えられていない会社もあります。
ボトルネックとなっているのが慢性的な人手不足です。
アフター対応の専門部署がなく、
工事監督が兼任しているというケースもあります。
施主検査やその後の手直し対応などの延長線上で
アフターも担うということです。
これは、職人の手配がしやすいというメリットはありますが、
アフター対応はオーナーからの問い合わせについてヒアリングしたり、
顧客情報の確認をしたり、各種担当者に確認を取ったりと
多くの手間がかかって負担が重くなりがちです。
現場巡回の合間に顧客宅を訪問したり、
オーナー都合で休日出勤したりということも珍しくないはずです。
これらを解消する手段として、
アフターのアウトソーシングは選択肢になります。
最近ではこの代行サービスを展開する事業者も増えてきていますが、
代表的な1社が家電量販店ヤマダホールディングス傘下の
「株式会社 家守り」です。
家守りは全国で住宅のアフター、保守メンテナンス、
点検のサービスを展開しています。
同社の検査制度の特徴は、設計段階の建物も対象となることです。
「設計図書検査」から始まり、
着工となると「基礎配筋検査」、「構造」、「防水」
といった構造上重要とされる箇所の検査も実施しています。
そして、竣工後は最長60年までフォローしています。
設計中、建設中など川上から検査を請け負っているからこそ、
手直しも最小限に抑えることができます。
2021年にはアフターから派生して、
清掃サブスクサービス
「リターンコンディションサービス」をスタートしました。
「お掃除の達人」ブランドでハウスクリーニングを展開する
ボーン・アンド・ゴー社との提携も行いました。
4種類のサブスクコースがあり、
例えば、キッチンや浴室などの水まわりコース、
エアコン清掃コースなどを用意しています。
アフターのアウトソースはオーナーにもメリット大
ジャパンホームシールド(以下、JHS)は2023年より、
アフター代行のサービス「アフターサポート」をスタートしました。
JHSといえば戸建住宅の定期点検や地盤調査で有名ですが、
これらの事業を運営する中で、
かねてより住宅会社からアフターメンテナンスに関する
相談があったようです。
また、人口減少時代で新築市場の縮小が見込まれる中で、
近い将来、新築住宅に注力してきた事業者にとっても
アフターやリフォーム、ストックといったビジネスが
経営のポイントになると分析しています。
「アフターサポート」は、
アフターに関連する3つのサービスをパッケージ化したものです。
この3つとは
「コール&駆けつけサービス」
「設備保証」
「顧客管理システム」
です。
「コール&駆けつけサービス」は
オーナーから発生する問い合わせの一次対応を行う
24時間365日稼働のサービスです。
窓口を担うコンシェルジュは住宅知識も豊富で、
電話口で様々な相談に対応できます。
例えば住まい手自身でメンテナンスや不具合を直せるような事柄であれば、
そのアドバイスをするなどで対応を完結することもあります。
住宅会社のコストとしては、コール数で変動し、
使わなかった月は「ゼロ円」と無駄のない料金設定です。
「設備保証」はシステムキッチンやシステムバス、
化粧洗面台、給湯器、温水洗浄便座を対象とし、
メーカー保証同様の10年まで延長できるサービスです。
オプションとしてインターホン、24時間換気システム、
床暖房、エアコンなどの保証にも対応可能です。
戸建住宅だけでなく、
集合住宅やリフォーム時の住宅設備も対象となります。
設備の修理費用を何度でも無料で受けられるなど、
メリットも大きいと言えます。
設備機器類の困り事などが発生したときに
24時間365日相談ができる受け皿があれば、
オーナーも住宅会社側も安心で、
住宅会社は本来の業務に集中することができます。
リレーションが薄くなりがちな築古のオーナーでも
電話の総合窓口を案内することで、
「きちんと気にかけていますよ」というメッセージにもなるでしょう。
社歴が浅く自社でアフター対応できている企業も、
オーナー数が増えて手いっぱいになる前に
顧客対応のベースを整えておくことが重要です。
営業担当者の働き方を変える上でも
アフターのアウトソースがカギとなってきます。
「顧客管理システム」は、
問い合わせやメンテナンス対応など
すべての応対履歴を一元管理するというものです。
家歴の有無は、建物評価額にも影響するものと見られます。
JHSでは今後、
既存のコネクションをターゲットに導入を進めていく計画です。
アフター代行サービスはまだ始まったばかりでありますが、
中期的目標として1,000社を掲げています。
(情報提供:住宅産業研究)