「太陽光発電普及にあたっての課題」営業・接客
前回の配信では脱炭素や太陽光搭載の義務化等の背景を踏まえ、
太陽光発電の搭載を進めていかなければならないこと、
そして太陽光発電搭載のメリット等を紹介しました。
しかし太陽光発電の普及には、課題があることも事実です。
本当の意味での環境貢献、本当の意味でお客様の幸福を願うのであれば、
その課題をしっかり認識し、
将来的なメリット・デメリットも考えて普及を進めていくべきでしょう。
真に価値のある太陽光発電普及とはなにかを考えるため、
今回は太陽光発電の課題点と、その対策などを紹介していきます。
本当に環境に優しいの?
太陽光発電の利用においてよく問題視されるのが、
山林を切り拓く等で大きな面積を確保し太陽光発電を設置する、
メガソーラーシステムです。
これに対し住宅への太陽光発電導入は、
自宅を利用してクリーンエネルギーを創出する、
環境に優しい取り組みだと言えるでしょう。
問題となるのはパネル廃棄時です。
太陽光パネルは鉛、カドミウム、セレンなどの有害物質を含むことが多く、
適切に処理されないと有毒物質の漏出、
環境汚染を引き起こす可能性があります。
そしてその処理にかかるコストは、決して安くはありません。
このことが寿命を迎えた太陽光パネルの放置や
不法投棄などの問題に繋がっています。
この問題に対して、
2022年7月から事業用の太陽光発電設備が
使用済みになった際の廃棄などの費用を積み立てることが義務化されました。
それでもやはり、使用する太陽光発電事業者を見極めることも重要です。
廃棄時の処理を徹底しているか、廃棄にかかるコストを算出し、
その用意がされているかを確認するようにしましょう。
リサイクルが難しいという点も問題になっています。
太陽光パネルはガラスや金属、有害物質など複数の材料からできているため、
これらを分別してリサイクルするのには手間がかかります。
しかしリサイクルを怠るわけにはいけません。
使用済みの太陽光パネルは、産業廃棄物全体の約6%を占めていると言われ、
今後もその量は増えていく見込みです。
この問題に対し環境省は、
太陽光パネルのリサイクル義務化制度を検討しています。
また2024年には、
通常国会に太陽光パネルの新法が提案される予定ともなっています。
課題はまだある中ですが、
紹介したように太陽光発電を「本当に」エコなものとするため、
国が徐々に制度を整えてきていると言えます。
本当にエンドユーザーのためになるの?
東京都の太陽光搭載義務化にあたって、
住宅産業研究所が対象となる住宅会社へ行ったアンケートでは、
「東京は特に土地のサイズが小さいので、
太陽光を搭載してもユーザーにとって本当にメリットがあるのか疑問」
といった声が多く挙がりました。
この問題への対策の1つが、性能の良いものを使用することです。
太陽光発電の性能は日々進歩しています。
例えば、大手太陽光メーカーである
ハンファQセルズジャパンの2018年時点の製品のモジュール変換効率は
19%程でしたが、最新製品では21%を超えるものもあります。
しかしそれでも、限られた屋根面積では
メリットを出すために搭載量が不十分なことも考えられます。
そこで注目したいのが、ペロブスカイト太陽電池です。
ペロブスカイトという結晶構造の材料を用いた新しい太陽光電池で、
最大の特長は軽くて折り曲げやすいということ。
これを活かし、建物の壁面や窓など、
これまで太陽光発電を置くことができなかった場所にも設置できます。
シリコン太陽電池と比べると寿命が短いなどの課題はありますが、
安価かつ、少ない光で発電できるのも特長です。
積水化学工業は2025年の事業化を目指し実証実験を進めているとのことで、
ペロブスカイト太陽電池普及により、
太陽光発電の課題が少しでも解決するのを期待したいものです。
太陽光、蓄電池の経済効果診断サービス
「エネがえる」を提供する国際航業㈱が
太陽光発電・蓄電池販売を行う企業の営業担当を対象に行った調査では、
太陽光発電・蓄電池の効果試算を苦手に思っているという人が7割近く。
根拠や信憑性を持って経済効果を試算できていない
という回答も35%近くありました。
本当にメリットがあるかどうかあやふやなまま、
オススメしている会社は少なくないと言えます。
試算を外部に委託する、計算システムを導入するなどの方法がありますが、
太陽光を導入する際はしっかりとそのメリットを
お客様に伝えられる体制をつくっておくことが大切でしょう。
(情報提供:住宅産業研究)