「2023年は既存住宅の高断熱化を積極支援」商品・トレンド
「こどもみらい」補助金、申請期限待たずして終了へ
2022年、エンドユーザーの新築住宅購入や
リフォーム実施の後押しになった要因の一つが補助金です。
特に「こどもみらい住宅支援事業」は活用が進み、
補助予算が少なくなると申請件数が急増。
当初予定していた申請期限である2023年3月を待たずして、
22年11月28日に補助予算に対する補助金申請額が
100%に達して終了しました。
最終的な申請件数としては新築で約11万件、
リフォームで約18.5万件、金額ベースでは新築が83%、
リフォームが17%という割合でした。
そして、2023年の目玉の一つとなる支援制度が
「こどもエコすまい支援事業」です。
「こどもみらい住宅支援事業」の後継と言える今回の支援制度は、
新築の場合、補助対象がZEHに限定されることが
大きな変更点の一つで、1戸当たり一律100万円としています。
リフォームに関しては大きな変更はありませんでしたが、
中古住宅の断熱性向上リフォームに対する
補助が手厚くなっています。
そこで今回はリフォームに関する支援の内容を中心に見ていきます。
3省連携のリフォーム支援制度がスタート
2023年のリフォームの支援制度は
「こどもエコすまい支援事業」だけではありません。
「3省連携ワンストップ補助金」と称して、
経済産業省、国土交通省、環境省の3省が連携し、
専用のWEBサイトも構えて、
「住宅の省エネリフォーム支援」を
キャンペーンとして打ち出しています。
それが以下の3事業です。
1)先進的窓リノベ事業(経済産業省・環境省)
2)高効率給湯器導入促進による家庭部門の
省エネルギー推進事業費補助金(経済産業省)
3)どもエコすまい支援事業(国土交通省)
それぞれの補助事業を確認していきます。
1つ目が経済産業省・環境省所管の「先進的窓リノベ事業」。
名称の通り、高断熱窓へのリフォームが補助対象で、
補助金額は1戸当たり最大200万円に上ります。
既存住宅の省エネ性能向上は脱炭素や昨今のエネルギー価格高騰、
国民の健康など様々な観点から急務の課題です。
「先進的窓リノベ事業」の補助単価は、
戸建・マンションといった住宅形態の種別、
窓リフォームの工法、断熱性能のグレードによって異なります。
1戸あたりの補助額は、補助単価×施工箇所数で算出しますが、
申請下限額は1戸当たり5万円です。
そのため、小サイズの内窓及び性能が
比較的低いものを1枚設置するだけでは5万円に届かず、
申請できないため、注意が必要です。
次に、経済産業省所管の「給湯省エネ事業」。
高効率給湯器の設置に対する補助事業で、
製品によって補助額が変動します。
まず、「家庭用燃料電池」の場合は、
補助金が1台当たり定額15万円。
そして、「ハイブリッド給湯機」と
「ヒートポンプ給湯機」の補助金が定額5万円です。
最後に、国交省所管の補助事業「こどもエコすまい支援事業」。
新築の場合は18歳未満の子どもを持つ「子育て世帯」と、
夫婦のいずれかが39歳 以下であれば該当する
「若者夫婦世帯」がZEHレベル以上の省エネ性能を持つ
住宅を建てることが 補助要件です。
一方、リフォーム工事の場合、
全世帯が対象で補助金額は最大30万円。
子育て世帯・ 若者夫婦世帯が申請する場合には
補助額の上限が最大45万円、
既存住宅の購入を伴う場合が最大 60万円まで引き上げられます。
予算規模は新築・リフォーム合わせて1,500億円。
2022年の「こどもみらい住宅支援事業」については
補正予算含め1,142億円でしたが、これを大きく上回っています。
補助要件としては、以下のいずれかの工事が必須です。
1)窓・ドアの断熱(ガラス交換・内窓設置・外窓交換・ドア交換)
2)外壁・ 屋根・天井・床の断熱
3)エコ住宅設備の設置
2022年までの補助事業と異なる点は、
これら3省が打ち出した補助事業の併用が可能であることです。
組み合わせによっては、
補助総額が1戸当たり最大245万円に上ります。
補助対象となるリフォーム工事は、
いずれも請負契約が2023年12月31日までに行われたもので、
工事が2023年12月31日までにスタートする物件に
限定されるとのことです。
既存住宅は断熱性能、気密性能が乏しいものが多く、
夏冬の暑さ、寒さに悩む居住者も多く存在しています。
さらに断熱性が低い建物は光熱費が高くなる傾向もあり、
昨今のエネルギー価格高騰が追い打ちを掛けている状況です。
脱炭素、国民の健康、エネルギー価格高騰など様々な観点から、
中古住宅の性能向上は日本の喫緊の課題と言えます。
(情報提供:住宅産業研究所)