「Z世代の特徴~どのような提案がいいのか」市場動向
前回はミレニアル世代について書きましたが、
徐々にその下の世代の「Z世代」も
住宅購入適齢期に差し掛かりつつあります。
この章ではそのZ世代に
どのような特徴、傾向があり、
それらから彼/彼女らに有効な提案を考えます。
Z世代とは? 彼/彼女らの特徴を探る
Z世代とは
1990年代後半から2000年代に生まれた世代、
現在の年齢で言えば
10代後半~27歳のことを指します。
2010年から、これからの2020年代に
社会に進出する世代です。
彼/彼女らが生きる時代の説明と共に
Z世代の特徴を探っていきます。
彼/彼女らにとって、
社会は潔癖になりつつあります。
例えば最近、
「誰も傷つけない笑い」
というワードが注目されていますが、
情報社会が発達し、
他者の意見を簡単に得られるからこそ、
Z世代は間違いや他者からの糾弾に敏感です。
また、ミレニアル世代の時代以上に
幼い頃から物が飽和し、選択肢が豊富なため、
所有欲が希薄なことに加え、
何かを決めるにあたって、
時間的な効率を重要視します。
これは決定力が足りない部分が
あるとも言うことができます。
これらの特徴をまとめると、恵まれているが故、
少々積極性に欠けている傾向があると言えます。
ミレニアル世代は
デジタルネイティブであることが
大きな特徴であると紹介しましたが、
それ以上にZ世代は「スマホネイティブ」です。
幼い頃からスマートフォンが身近にあり、
ネットリテラシーはとても高くなっています。
インターネットを使いこなすことは勿論、
SNSに慣れ親しんでいます。
SNSにもコンテンツは飽和しており、
Z世代は動画であれば
「切り抜き」や「ショート動画」など、
情報が簡潔にまとまったものを好みます。
諸権利等を無視し、映画の内容をまとめた
「ファスト映画」が問題となったことは、
最近の目新しいニュースではないでしょうか。
一方で飽和したコンテンツや
SNSの「映え」を求めることに
疲弊してきている傾向もあり、
海外では加工などができないよう、
写真を撮影してから2分以内でしか
投稿ができないSNSの人気も高まってきています。
Z世代の特徴を改めてまとめると、
「所有欲はミレニアル世代以上に希薄」
「決定力や積極性に少々欠ける」
「なにかの決定において時間的な効率を求める」
「デジタルリテラシーが非常に高い」
「モノ、コンテンツの飽和により、疲弊している部分もある」
となります。
Z世代に効果的な訴求を考える
前述のZ世代の特徴を踏まえ、
住宅業界ではどのようなアプローチが
彼/彼女たちにとって効果的なのかを考えていきます。
所有を求めないZ世代には、
コンパクトで必要十分な住宅の提案が
効果的な可能性があります。
賃金の低下等様々な背景がありますが、
近年、東京都心部では価格を抑えた
3畳程度のコンパクトワンルームが
若者に人気を博しています。
またYouTubeでも
「コンパクト平屋」のようなテーマの動画は
再生数が高い傾向にあります。
サブスク型の住宅の提案が
有効な可能性もあります。
コロナの影響でテレワークが普及し、
「ワーケーション」という
言葉も浸透しつつある今、
持たず、定住をしないという提案は、
対応力の高い若者たちにとって
魅力的かもしれません。
ワーケーションの例のように、
自宅よりもサードプレイスで
多くの時間を過ごす人が
多くなっていくことも考えられます。
それに備え、
住宅以外の建築に力を入れる
必要性も出てくるかもしれません。
積極性に欠け、
決定に時間的な効率を求めるという側面には、
定額制の商品や規格商品が有効かもしれません。
「ゴールがある程度見えている」ということが、
Z世代に住宅を購入してもらうにあたって、
鍵である可能性が高いです。
「なんでもできますよ」ではなく、
会社側である程度選択肢を絞って
提案をしてあげることが、
Z世代の購買意欲を上げるための
一つの方法かもしれません。
デジタルリテラシーが高いため、
Z世代はフィッシング詐欺などに敏感で、
WEB広告などはより一層見てもらえるような
工夫をしなければいけなくなります。
情報が安心できる所から
発信されていることを明らかにし、
かつ、より個人に向けての発信を行わなければ、
Z世代はメールやリンクを
開いてくれない可能性が高いです。
紙媒体の有効性が復活することも考えられ、
友人間の口コミは更に重要視されていくでしょう。
物やコンテンツの飽和によって
Z世代が価値を感じるものは、
「物質」から、より「精神的なもの」に
移っていくと想定できます。
そこに訴求するための手段として、
気候変動やエネルギー問題に
寄与しているという意識を与える、
住宅の高性能化や
太陽光設備設置の推進などは必須です。
創作的な活動に集中できたり、
思考の整理に有効であったりするような、
テレワークスペースの延長のような
空間提案でも良いかもしれません。
例えば、コロナ禍、過度な情報社会等で
疲弊しているZ世代の間では、
瞑想が流行を始めています。
既に野村不動産のホテルでは
ワーケーション利用を想定した
瞑想ルームが導入された事例もあり、
パナソニックも瞑想ルームの開発に着手しています。
このような精神面に訴求するような提案も、
今後住宅に求められていく可能性があります。
とにかく会社や商品に、
彼/彼女らが価値を見出せる何かを
プラスアルファしていくことが大切でしょう。
(情報提供:住宅産業研究所)