「ミレニアル世代の傾向と住宅業界のアプローチ」市場動向
この言葉はデジタルネイティブである
20代後半~30代の世代のことを指します。
まずはミレニアル世代にどのような特徴があり、
その層に対して住宅業界が
どのような訴求を行ってきたかを
振り返っていきます。
ミレニアル世代の特徴
日本の人口は年々減少を続け、
少子高齢化が進行していることは周知の事実です。
2021年の人口推計では
65歳以上の高齢者が3,621万人。
その比率は過去最高の28.9%と、
全体の3割近くにまで上っています。
一方、国交省の住宅市場動向調査によりますと、
注文住宅所得世帯の世帯主年齢は
年々低下してきています。
2020年度の調査結果では
平均年齢が42.9歳となっており、
年代別構成比で言うと、
30代が40.9%、
30歳未満が11.8%と、
合わせると30代以下が
過半数の52.7%を占めています。
また、コロナ禍以降は、
高齢者は消費を抑える傾向にあり、
親との同居や賃貸住宅から
新築戸建に住み替える
若年一次取得者層の動きが目立っています。
これらの事実より、
若年層への訴求も依然、
大切なことがわかります。
現在、一次取得者層としてメインの
「ミレニアル世代」。
ミレニアル世代とは
主に1980 年代から90年代に生まれ、
生まれ育った時から情報通信機器や
サービスに慣れ親しんだ世代のことを指します。
「デジタルネイティブ」であること以外に、
彼/彼女らの特徴としては、
「所有欲が希薄」、
「モノよりコト(体験)を重視する」、
「SNS等を介し、他者から得られる共感を重視する」
等が挙げられます。
デジタルネイティブであるために、
情報の収集はWEBやSNS等、
インターネットを利用して
多角的に集めることが主です。
モノよりコト、
他者からの共感を重視する特徴から
「特別な自分だけの体験」
を大切にしているミレニアル世代は多く、
そのような体験を友人と共有したいとも考えます。
積極的にかけがえのない体験を求め、
さらにそれを共有していく結果、
仲間意識が他の世代よりも
強い傾向にあると言われています。
加えて、ミレニアル世代が
社会問題に関心が強いことも、
他者からの共感を得られやすいことが
一因と言えます。
ミレニアル世代への住宅業界の訴求
これらの特徴、
傾向を持つミレニアル世代に対し、
住宅業界では多種多様な
アプローチを行ってきました。
最大の特徴の
「デジタルネイティブ」であることに対しては、
多くの会社がWEBの強化、
SNSの強化に取り組みました。
ミレニアル世代は、
会社ホームページがしっかりとしていなければ、
その時点で選択肢から除外することもあり、
スマートフォン対応という側面も含め、
ホームページを一新した会社は多くありました。
SNS、特に現在のメインストリームである
Instagram、YouTubeに
注力をした会社は非常に多いです。
Instagramではリールやライブ機能を活用し、
ユーザーと接点をつくる取り組みが目立ちました。
YouTubeは会社により動画の内容は様々ですが、
100万回を超える再生数の動画を
投稿している会社もあり、
それをきっかけにエリア外からの
問い合わせをもらうケースもあるようです。
秋田県のクリエイトホームズでは、
再生数の多い動画の概要欄を使用して
全国の施工可能店を
紹介する取り組みも行っています。
ミレニアル世代が一次取得者層として
台頭するにあたって、
定額制の商品も増えていきました。
三菱地所ホームの
「SMART ORDER Fit」や、
セルコホームの
「THE HOME SPIRIT・2×6」
などがその例です。
定額制商品はインターネットで調べれば
簡単に他社との比較等を行える現代において、
ユーザーからの信頼を高めるための
一つの方法でしょう。
その他、紹介制度を強化したり、
オーナーのファン化に力を入れたりする
会社も見られました。
情報取得の手段が多いからこそ、
ミレニアル世代にとって
友人からの紹介にはより価値があり、
そこに注目をしたアプローチです。
「モノよりコトを重視する」
特徴に対しては、
多くの会社が「暮らし方」の
提案を強化してきました。
今まで住宅業界ではあくまで
「家」の提案を主としていましたが、
一次取得者層の価値観の変化に合わせ、
訴求方法のトレンドは変わっていきました。
また、より家での
「暮らし」のイメージが付きやすいよう、
家具とのセット販売を行う会社も見られました。
ジャパンアイディアホームの
「IROHA.IE」では
家具ブランドのCRASH GATEとコラボレーションし、
インテリアを主眼とした商品を発売しています。
家具のセット販売は
暮らしの世界観の確立だけでなく、
単価の向上にも効果的です。
(情報提供:住宅産業研究所)