「LCCM住宅商品化の動きが加速」太陽光/省エネ/ZEH関係
長期で脱炭素を目指す「LCCM住宅」
LCCM(ライフサイクルカーボンマイナス)住宅とは、
建設時、居住時、解体時のCO2の削減に取組み、
さらに太陽光発電などを
利用した再生エネルギーの創出により、
住宅のライフサイクル全体で
CO2収支をマイナスにする住宅のことです。
地球規模の温暖化が社会問題となっている中で、
CO2排出の削減は、最も重要な政策課題の一つです。
住宅業界でも脱炭素の取り組みを
一層強化することが求められていることから、
大手ハウスメーカーを中心に各社が
LCCM住宅の商品化を進めています。
住宅会社による商品開発が活発化
住友林業は、優れた断熱性能や高性能な設備機器、
大容量太陽光発電システムなどの
創エネルギー機器を駆使した
環境フラッグシップモデル
「LCCM住宅」を4月22日に発売しました。
新商品の「LCCM住宅」は、
同社オリジナルの木質梁勝ちラーメン構造である
「BF(ビッグフレーム)構法」を採用し、
幅560mmの大断面集成材と接合金物を用いることで、
構造躯体を強靭化しています。
BF構法は構造部分(スケルトン)と
暮らしに合わせて配置する
内装・設備部分(インフィル)を分けて考える
「スケルトン・インフィル」
の考えに基づいた設計が可能です。
そのため、家族の誕生や独立などといった
ライフスタイルの変化に合わせて
間取りを容易に変更することができます。
長く住み続けることで、
長期間にわたり炭素を
固定し続けることができるのに加え、
改修段階でのCO2排出量を削減します。
また、柱や梁に使われる主要な構造部材は、
生産段階から乾燥工程で再生可能な
バイオマス燃料を活用することで、
建設段階のCO2排出量の削減にも
つながるということです。
省エネの工夫では、
南の採光面に「日射取得型複層ガラス」を、
その他の面には、
「日射遮蔽型真空トリプルガラス」を
採用しています。
また、高性能な断熱部材で建物全体を囲む
「360°トリプル断熱」も
取り入れているということです。
さらに、深い庇等を用いることにより、
夏の強い日差しは防ぎ、
冬場は光を効果的に室内に取り込むといった、
季節ごとの室内への日の入りを調整する
パッシブデザインで、CO2排出量の削減と
暮らしの快適性を両立しています。
創エネや蓄エネでは、
屋根形状を工夫することで
大容量の太陽光発電システムを
搭載できるようにしており、蓄電池と併用します。
また省エネルギーで
お湯を作ることができる高効率給湯器といった
環境設備機器も搭載し、光熱費も削減します。
2階建て・延床面積約114平米の
モデルプランでの試算では、
1棟当たりの炭素固定量は
約18t-CO2となったということで、
これは約0.3haの杉林が50年間で吸収する
CO2量に相当するということです。
同社では年間の受注目標を100棟としています。
ミサワホームは、
木質系工業化住宅の最上位ブランド
「CENTURY」シリーズに、
新たにLCCM住宅を実現した
「CENTURY 蔵のある家 ZEH ADVANCE」
をラインアップに加え、4月29日に発売しました。
同社ではこれまでもLCCM住宅についての
商品開発を行ってきており、
2010年にはコンセプト住宅
「エコフラッグシップモデル」
を発表しています。
また、2011年には住宅業界初となる
「ライフサイクルCO2マイナス住宅」
を発売しています。
2021年には、環境だけでなく、
暮らしや健康についても
サステナブルな住まいとして、
2030年を見据えた未来住宅
「グリーン・インフラストラクチャー・モデル」
を発表するなどの取り組みを
継続して行ってきました。
今回開発された
「CENTURY 蔵のある家 ZEH ADVANCE」は、
異種勾配の屋根形状や大収納空間
「蔵」の配置を工夫するフレキシブルな
設計プランの
「スマートECOフォルム」を採用することによって、
大容量の太陽光発電システムの搭載と
斜線制限などへのプラン対応を両立しています。
また、太陽光発電システムなどで
発電した電力の自家消費率を高めるため、
同社のオーナー向けに提供している
IoTライフサービス「LinkGates(リンクゲイツ)」が、
蓄電池や給湯器を自動制御します。
「リンクゲイツ」に搭載されたAIは、
過去の使用電力量や太陽光発電量などの
HEMSデータ、気象予測情報などを自動で分析し、
翌日の発電量や使用電力量、余剰電力量を
AIが予測して最適な利用を
可能にするということです。
同社では、初年度に年間700棟の販売を
目標としています。
(情報提供:住宅産業研究所)