「東日本大震災から10年 住宅業界の災害対策」ハウスメーカー
2011年3月11日に発生した東日本大震災から今年で10年を迎えました。
警察庁によると今年の3月1日時点で、
震災による死者数は1万5899人、行方不明者数は2526人に上ります。
また、避難生活などで亡くなった震災関連死に認定された人は
3775人に上っています。
国内観測史上最大となるマグニチュード9.0、
最大震度7を記録した巨大地震は、
私達に様々な被害と影響を与えました。
近年、地震以外にも台風やゲリラ豪雨による水害など、
多くの自然災害に見舞われる日本の住宅業界では、
「レジリエンス」、「防災力」というキーワードのもと、
災害対策が行われています。
東日本大震災から10年を迎えた今年は、
住宅会社各社から
様々な地震や災害対策の取組みが発表されています。
邸別被害を推定するIoT防災情報システム
旭化成ホームズでは、旭化成、
国立研究開発法人防災科学技術研究所(防災科研)と共同で、
「IoT防災情報システム LONGLIFE AEDGiS(ロングライフイージス)」
の開発を進めています。
ロングライフイージスとは、
旭化成グループが一定数のヘーベルハウスに設置する
地震計の地震動観測データ、防災科研の知見を活かして
整備した高密度な地盤データベース及び地震動伝達に関する
高速演算手法を組み合わせ、地震発生後10分~2時間程度で、
そのエリアに建つ全てのヘーベルハウスとへーベルメゾンの邸別の
建物被害レベルや液状化の発生状況を推定することができる
システムです。
2020年1月に
ロングライフイージスのシステム運用計画が発表され、
今年の3月5日には、
運用計画の第1フェーズとして予定していた、
東京都23区に建つ166棟のヘーベルハウスへの
地震計の設置が完了したことを発表しました。
また7月からはシステムの試験運用が開始され、
2021年度末までに東京都23区内全域での
運用開始が予定されています。
2022年度には第2フェーズとして、
旭化成ホームズがヘーベルハウスを展開する全エリアの21都府県で
ロングライフイージスのシステム運用開始を目指しています。
旭化成グループでは今後、システムの高度化を進め、
システムから得られる高密度な地震動情報を、
個別の建物や構造物、インフラ施設などの即時被害推定や
液状化発生状況のリアルタイム推定、
将来の地震被害想定へと応用していく計画です。
さらに、同システムで得られた知見を元に、
防災科研と共同で実証実験を行うなど、
広く世の中のレジリエンス向上を目指して活用していきます。
また現在、
防災におけるSNS情報の活用に向けた共同研究も進めており、
地震が発生した後の迅速な復旧対応や
復興支援の強化に取り組んでいくということです。
災害発生時に避難場所を提供
賃貸住宅大手の大東建託では2018年より、
防災と暮らし研究室「ぼ・く・ラボ」 を立ち上げ、
災害時に地域防災のハブとして機能する防災拠点を設置するなど、
賃貸住宅における防災意識向上の取組みを推進しています。
同社では、災害発生時に共助を行う上で、
日頃からの地域のつながりが重要という考えのもと、
人と地域をつなぐネットワークを構築するために
支援物資や給電設備などを備えた
「ぼ・く・ラボステーション」の配置や、
地域のコミュニケーションを活性化させる防災イベントの実施、
地域交流イベントへの参加に取り組んでいます。
「ぼ・く・ラボステーション」は、
緊急時に集まれる場所として、
同社の事業所を防災拠点にしたものです。
災害発生時にあったらいいなと思われるものを保管しておき、
地域の方々に利用してもらうという仕組みです。
例えば、炊き出しセットを備蓄しておいて、
地域住民それぞれが食材を持ち寄ることで、
調理して食べることできる他、ボートを置いておき、
冠水した際には子どもや高齢者を
安全に避難所に連れて行くために利用します。
また、同社では日常から社用車を
電気自動車やハイブリッド(PHV)車として配置することで、
非常時には
自動車から電源を確保することができるようにしています。
2021年2月時点で全国30拠点を
「ぼ・く・ラボステーション」としており、
2022年3月末には36拠点まで拡大させることを目指しています。
(情報提供:住宅産業研究所)