「大和ハウスグループのストックブランド“リブネス”の今」市場動向
大和ハウス工業はリブネス事業部を発足し、
住宅ストック事業を推進してきました。
同事業部は将来の住宅着工戸数減少を見据え、
グループが連携してストック事業に取り組むための
牽引役を果たしています。
リブネス事業で2,311億円、全国でストック活用推進
発足から3年目を迎え、リブネス事業の売上高は
2018年3月期1,699億円から2020年3月期は2,311億円と、
2年間で1.36倍規模まで拡大しました。
売上高の内訳としてはリフォームで1,207億円、買取再販で753億円、
仲介で80億円、その他の売上が271億円です。
リフォーム売上高の最多ボリュームは大和ハウスリフォームで、
買取再販についてはコスモスイニシアの実績が約半数を占めています。
大和ハウス工業本体としてもストック活用に向け、
2019年9月に「リブネス空き家管理サービス」をスタートし、
全国の各事業所においてリブネス担当の増員を行いました。
「リブネス空き家管理サービス」は、空き家に悩むオーナーを
対象に空き家の防犯、管理、不動産活用をサポートするサービスです。
大和ハウス工業が住まいの総合窓口となり、緊急時の駆けつけサービスや
月1回の巡回時の換気、ポストの整理、簡単な清掃等のサービス、
そしてオーナーへ巡回報告を行っています。
巡回報告時に不動産活用に関する情報も提供しており、
料金は、戸建住宅で月1万円、マンションは月9千円です。
リブネス担当の増員については2020年4月から配置転換を行い、
9月時点で全国100名まで増員しました。
各担当が拠点エリアにおける不動産の仲介事業や買取再販事業など
ストックに係る案件を専門的に扱っていく計画です。
さらに、これまでリブネス事業の中心は住宅ストックを扱う
グループ会社が中心でしたが、最近では店舗など非住宅系
リフォームを展開するグループ会社も参画し、
リブネスの事業領域が拡大しています。
首都圏エリア初のリノベマンション「リブネスモア戸田公園」が登場
リブネスではリノベーションマンションブランドとして、
「リブネスモア」を関西エリアで手掛けてきました。
そして今夏、リブネスモアとしては3棟目、首都圏では初となる
「リブネスモア戸田公園」の販売をスタートしました。
元々コスモスイニシアが分譲した築31年のマンションで、
総戸数は46戸、内1戸はテナントです。
埼京線の戸田公園駅から徒歩8分の立地で、
周辺には戸田市児童センターの「こどもの国」や
戸田中央病院などがあり、
子育て世代のファミリーにとって住みやすいエリアです。
再販前の大規模修繕では、防水工事や塗装工事、タイル補修工事の他、
エントランス周辺のリデザイン、宅配ボックスの新設、
駐輪場のキャパを従来の2倍に増設するなどの
バリューアップ工事を行いました。
各住戸の玄関扉やエレベーターも刷新しています。
住戸の専有面積は66.34~81.79平米、価格は3,498~4,228万円、
坪単価としては170万円内外です。住戸タイプは、リノベ済みの
フルリノベーションプラン、セレクトプラン、自由設計プランの
3種を用意しており、それぞれ22戸、11戸、7戸という構成です。
リフォーム費用としては、
フルリノベタイプで850万円程度としています。
モデルルームは事前に3戸を準備し、そのうちの1つは
大和ハウスが戸建事業で展開する「家事シェアハウス」を
コンセプトとした住戸です。
マンション版家事シェアハウスでは、
玄関に「自分専用カタヅケロッカー」を配置しました。
1.5帖ほどの広さでコートやスリッパ、家のカギなど使用頻度の
高い小物類、ブーツなどの背の高い靴などの収納が可能です。
靴で雑然としやすい玄関の整理にもつながります。
キッチンには、食材のストックが整理しやすい可動棚
「食材ストッカー」を設置しました。
その他、家族で共有したい書類などを整理する「お便り紙蔵庫」や、
服装のコーディネートをサポートする「ビューティークロゼット」
を設置しています。
他のリノベ済み住戸モデルは、テレワークスぺースや
西海岸スタイルなどのコンセプトを設けています。
マンション1棟丸ごとの再販プロジェクトは、
購入前に物件のインスペクションが十分にできないため、
事業者にとってのリスクは決して小さくありません。
結露によるカビの発生や構造部分のRCの中性化が想定以上に
進んでいるなどの事象が発生した場合、修繕コストが膨大になったり、
プロジェクトそのものを見直す必要も出てくるかもしれません。
ダイワハウスでは分譲当時の売主や施工会社、
管理会社が行ってきた修繕履歴などのヒアリング等を徹底して
リスクマネジメントを行っているとのことです。
(情報提供:住宅産業研究所)