「注目度高まる抗ウイルス建材」ハウスメーカー
再度確認したいウイルスのこと
新型コロナウイルス感染症(COVID-19)は、9月時点で終息の目処が立っていません。
今冬には再流行する可能性があり、注意が必要です。
住宅業界においてもウイルス対策の気運が高まっており、特に「抗ウイルス」や「抗菌」を
謳う建材に対する注目度が上昇しています。
ここで注意したいのは「菌」と「ウイルス」の混同で、今回のメルマガで
これらの違いを再度確認しておきましょう。
「菌」には「細菌」やカビを指す「真菌」といった種類がありますが、今回は「細菌」について
取り上げます。「細菌」は目で見ることができないほど小さい生物で、一つの細胞しかないため
単細胞生物と呼ばれています。
人間に害のある代表的な細菌としては、大腸菌や黄色ブドウ球菌、結核菌などが挙げられます。
一方、「ウイルス」ですが、大きさとしては細菌の50分の1程度ととても小さく、
細胞を有する菌と異なり、自身で細胞を持ちません。
そのため、ウイルスは他の細胞に入り込むことで生きています。人間に病気をもたらす
ウイルスとしては、インフルエンザウイルス、ノロウイルス、そして今年大流行している
新型コロナウイルスなどが知られています。
ウイルスは大きさや仕組みが細菌と異なるため、抗菌機能を有する建材がウイルスに対して
効果があるとは言えません。その逆も然りで、建材を選ぶ際には注意が必要です。
ウイルス対策に「光触媒」と「漆喰」が有効?
住宅にも導入でき、抗ウイルス作用を有するとされている代表的な材料が
「光触媒」と「漆喰」です。今回はこれらを使用した建材を紹介します。
「光触媒」は光をエネルギーとして物質に化学変化を起こさせる触媒です。
そして、光触媒反応を起こす物質として最もポピュラーな化合物が酸化チタンです。
酸化チタンの表面に光エネルギーが当たると、空気中の水分、酸素と反応し、OHラジカルなどの
活性酸素を発生させます。
あまり聞き慣れない物質ですが、このOHラジカルは強力な酸化分解力を持ち、
シックハウス症候群の原因物質であるVOCなどの有機物や雑菌、ウイルスなどを炭素と水分に
分解し、無害化するという性質を持っています。
この酸化チタンを活用した建材として、株式会社ハイクオリティが開発した
「イオニアミストプロ」を紹介します。
この建材は水とアルコール、酸化チタンによって構成され、ナノレベルの極めて小さい
酸化チタン粒子を吹き付けられる技術が特徴です。
酸化チタンによりコーティングされた壁、床、天井は抗菌、抗ウイルス、消臭、防汚など
様々な効果が期待できます。
屋内での利用を想定しており、太陽光だけでなく、蛍光灯などの人工照明にも反応します。
実際に行った試験では、インフルエンザウイルスなどの主要なウイルスの減少率は
99.9%以上という結果が示されたとのことです。
過去には、住宅はもちろん、病院やオフィス、飲食店など様々な施設で使用されています。
施工時間は6畳ほどの空間であれば、床、壁、天井全てを施工する場合、30分程度です。
効果が持続する期間は最長4?5年間で、拭き掃除程度であればチタン粒子が剥がれる
心配はありません。
次に「漆喰」についてですが、主原料である「消石灰」が菌やウイルスを抑制する効果が
あると言われています。
「消石灰」はpH値が11以上と、アルカリ性を強く示す材料です。
空気中に漂う菌やウイルスは漆喰壁に触れると塗膜内部に入り込み、塗膜内部の強アルカリ成分
によって分解され、不活性化するという仕組みになっています。
漆喰を活用した建材として、日榮新化株式会社の「ハルシックイ」を紹介します。
「ハルシックイ」は、漆喰を「塗る」という作業から「貼る」という作業へのシフトを
実現した漆喰粘着シートです。
シート表面の漆喰部分は固まっているため、通常漆喰を施工する際に必須である「乾燥」の
工程が不要であることも特徴です。
既存の漆喰シートと大きく異なる点として、「ハルシックイ」は折り曲げてもヒビ割れや
粉落ちが起きにくく、ハサミで切ったりと加工しやすく、曲面に貼ることもできます。
そのため、使用用途は住宅用の壁紙に留まらず、シールやラベルとして抗菌ステッカー、
消臭剤ラベルなど、工夫次第で様々なシーンで使用することができます。
(情報提供:住宅産業研究所)