「新しい賃貸のカタチ」ハウスメーカー
近年、二地域居住の推進や、固定の住居を持たず全国にある拠点を移りながら暮らす
アドレスホッパーの増加等、新しい住まい方が広がっています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響もあり、人々が住まいに求めるものも
変化してきています。
多様化する住まいのニーズに対応するため、賃貸住宅を取り扱う各社は、
様々な付加価値を入居者に提供しています。
今回は、新しい付加価値を賃貸住宅に採用している事業者2社の事例をご紹介します。
賃貸に広がるサブスクサービス
大東建託のグループ会社である大東建託パートナーズは、家具のサブスクリプション
サービスを実施するサブスクライフ社と協業し、7月1日より、大東建託グループが
管理する賃貸建物の入居者向けに、家具・家電が定額制で利用できる「サブスクライフ」
サービスの提供を開始しています。
近年、定額料金を支払うことで一定期間のサービスが受けられるサブスクリプション
サービスが普及し、その内容も動画や音楽から、英会話、飲食店、自動車等にも
広がっています。
賃貸住宅においては、一人暮らしや二人暮らし、子供の成長等、ライフスタイルの
変化に合わせて、必要になる家具・家電を買い替えることは大きな負担です。
また、新型コロナウイルス感染症の流行拡大によりテレワークが急速に広がり、
自宅でワークスペースを確保するため仕事用家具を求める人も増えています。
このような背景から、同社では入居者に新たな付加価値を創出し、
より快適な暮らしをサポートするという目的のもと、今回のサブスクサービスの提供を
開始しました。
「サブスクライフ」サービスでは、人気ブランドの家具やデザイン性の高い家電を、
ライフスタイルに合わせて定額制で利用することができます。
利用期間は3ヶ月から24ヶ月の期間で1ヶ月単位での設定が自由にできます。
利用期間終了後には、「継続」「返却」「購入」のいずれかを選択することが
できるということです。
利用後にそのまま購入することも可能なため、購入を検討している商品を試す
機会としても利用でき、家具・家電選びの選択肢が広がります。
同サービスの利用には、月額の利用料と初回のみ送料が必要ですが、大東建託グループが
管理する賃貸建物の入居者は、月額利用料が5%割引となるということです。
借りながら貸せるシェア型賃貸
中古マンションの買取再販やシェアハウス等を手掛けているリビタは、
宮城県仙台市の築38年のオフィスビルを1棟丸ごとリノベーションし、
シェア型複合施設「TNER(トナー)」として再生、8月1日にオープンしました。
トナーは、“借りながら貸せる”賃貸がコンセプトの、
オフィス・アパートメント・ショップ・レンタルスペースの複合施設となっています。
賃借人が借りた区画において、使っていない時間を他の人に貸し出すことができる、
新しい賃貸の仕組みを採用しているということです。
他のテナントとシェアできるだけでなく、使っていない時間を時間単位で他者に
貸し出すことを前提とした賃貸借契約となっています。
個人・法人を問わず、使っていない時間を貸し出した分の家賃収入があるため、
時間もお金も無駄にしない活用が可能です。
例えば、平日は固定デスクとして契約しているオーナーが土日だけ二次利用者に
貸し出したり、スモールオフィスを契約中の会社が会議室空間を使用していない時間だけ
レンタル会議室として貸し出すというような使い方ができます。
転貸可能物件と公言することで、周辺相場より高家賃での賃貸契約をすることができる
ということで、賃借人だけでなく、不動産オーナーにとってもメリットがあります。
今後は、「トナー」の受付にキャリアカウンセラーを採用し、入居者の仕事に関しては
もちろん、借りている区画の二次利用の相談への対応、また、入居者同士や「トナー」の
利用者をつなぐことで、コミュニティの醸成や新たなビジネスへの発展を
目指していくということです。
(情報提供:住宅産業研究所)