「非接触が変える住宅営業」市場動向
新型コロナウイルスの感染拡大の収束がなかなか見えてこない中、
事業を継続しなければならない住宅会社では、新しい営業活動を取り入れている会社が
増えています。
従来は対面での接客・営業活動が当たり前でしたが、コロナの感染拡大を防止するため、
新たに注目されているのが非接触で自社や商品をアピールする方法です。
例えば、埼玉県に本社を置くビルダーのケイアイスター不動産では、コロナ禍以前の
2019年12月に群馬県高崎市にオープンした注文住宅「はなまるハウス」の高崎展示場に
無人内覧システムとチャットボット商談を活用した非接触型営業を導入しました。
その結果、住宅展示場来店から成約に至るまでの期間は、導入前に比べ約60%減少し、
成約率は約20%の増加となったということです。
今回は、住宅業界で進む非接触の取り組みについてご紹介します。
非接触は働き方改革にも貢献
東京、名古屋、福岡を中心に不動産業を展開するオープンハウスは、AI(人工知能)と
RPA(ロボットによる自動化)を掛け合わせた物件チラシ全自動作成システムを開発し、
デジタルチラシによる非接触の物件案内を7月8日より開始しています。
今回開発された物件チラシ全自動作成システムは、音声やテキストチャット等により、
ロボットに該当物件名を伝えることで、チラシ作成に必要な情報をロボットが自動で
社内システムから収集した後、AIが物件チラシを自動で作成し、
約2~3分でチャットやメールに返信されるというものです。
従来は営業担当者がユーザーのニーズに合わせ、物件のアピールポイントを変えて
チラシを作成していたということですが、今回のシステムでは、
「立地」「価格」「間取り」「学区」等、アピールするポイントを変えたチラシを
最大14パターン作成することができます。
また、不動産のチラシは景品表示法において内容等に制約があり、従来は審査にも時間と
労力を要しましたが、今回のシステムでは、AIがルールに則った上で正しい情報を自動で
入力することで、審査時間の大幅な短縮を可能としています。
チラシの作成から審査までをオンラインで完結できるため、営業担当者は出社せずに
自宅等からのリモートワークで対応することができるということです。
チラシデータには自動でQRコードが発行され、スマートフォン等で
QRコードを読み込むと、チラシの内容を確認することができるため、
ユーザーは、店舗や街頭の紙チラシ等を通じて、非接触での家探しをすることが
できるようになります。
さらに、オンラインチラシから営業担当者に電話やLINE、メールをダイレクトに
することができる機能を備えており、自宅で読み取った物件チラシを見て、
スムーズに問い合わせをすることができるということです。
これまで営業が手作業で作成していたチラシを完全自動化することで、
チラシの作成業務を年間約2880時間、広告審査時間を約900時間削減することができ、
働き方改革にも寄与しています。
同社では今後、AIが作成するチラシのバリエーションを更に増やしていくほか、
メールやLINE等のSNSにもAIとRPAを活用していくということです。
“おうち時間で楽しむ”住宅計画
岡山県のビルダーであるヘルシーホームでは、新型コロナウイルスの影響で外出自粛
ムードの中、“おうち時間”を楽しみながら、住宅計画を進めることができる様々な
コンテンツの配信をYouTube上で始めています。
配信しているコンテンツは、モデルハウスを気軽に見ることができる「Room Tour」や、
360度カメラを使って撮影された動画で、社員の説明を受けながら、
モデルハウス内の自分の好きな場所を見ることができる「360度ルームツアー」等です。
各コンテンツで紹介している内容は、これまではユーザーが現地や店舗に行き、
直接確認するのが当たり前でした。
それが、YouTubeを使うことによって、自宅で空いた時間に見ることができるため、
感染症対策や、短時間で多くのモデルハウスを見ることができるというメリットがあります。
ヘルシーホームでは、以前から取り組んでいる、
Web会議システムを使った「おうち de オンライン相談」を利用することで、
家にいながらオンラインでの家づくりの相談にも対応可能としています。
今後は、Webコンテンツを強化し、ユーザーが安全な状態でリラックスしながら、
楽しく住宅計画を進められる取組みを行っていくということです。
(情報提供:住宅産業研究所)