住宅商品づくりの際のマインド商品・トレンド
先日、ある工務店様から「断熱材は、何を使ったらいいですか?」という質問をいただきました。ちょうど住宅商品の標準仕様を考えているところで、「断熱材に使うのは、アイシネンがいいのか、アクアフォームがいいのか、それとも、グラスウールでもいいのか?を迷っている」という趣旨の質問でした。
この工務店様からの質問は断熱材についてでしたが、断熱材に限らなくても、
柱だったらオール4寸にしたほうがいいのか?3.5寸だとダメ?
5寸ではどうなのか・・・?基礎は立ち上がり幅450mmにこだわったほうがいい? それ以下はダメ・・・?システムバスは・・・床材は・・・考え出すとキリがありません。
でも、、、
住宅商品づくりには、もっと大切なことがありますよね。仕様にこだわる事だけが商品づくりではありません。
そうです。
『素材(モノ)以外で、こだわっている点』を『理由』とともに語ることが大切です。それが、商品づくりのコンセプトや考え方・背景になるのです。例えば、「断熱材をどれにしようか迷っている」 の背景には、断熱性能へのこだわりがある、ということです。なぜ、寒くない家を建てようと思ったのか?という部分の家づくりへの想いと、そう考えるようになった理由を語れば、そこに共感してくれるお客様が必ず現れるはずです。また、本当は断熱性能にこだわりたいのに、なぜグラスウールという選択肢が出てきたのかを聞くと、建物価格を抑えたいという社長の想いがありました。では、なぜ、断熱にはある程度妥協してでも、金額面を優先しようと思ったのか?
リーズナブルな価格に設定したいと思った理由と、その背景にある想いがあるはずです。それを語れば、共感してくれるお客様が必ず現れるはずです。
圧倒的な商品力がある携帯電話といえば・・・
この原理は、住宅業界だけではありません。携帯電話で世界一の商品力があると思われるアップル社でさえ、iPhoneを売るときには機能や素材(モノ)の説明はほとんどありません。
シンプルなデザインにこだわっている理由と、背景にある考え方を語り、iPhoneを使っている姿を想像させ、機能の説明ではなく使い方の説明をしています。時間があるときにアップル社のWEBサイトを見てみてください。
使い方を教える説明と、カッコイイ姿をイメージさせる動画がいくつも掲載されています。ちなみに、流行し始めた頃は、地面に落としてしまうと画面が割れやすくてヒビが入ってしまうくらい強度が弱い商品でした。でも売れ続けて、日本ではスマートフォンユーザーの70%以上がiPhoneを使うまでに広がりました。ここから分かるのは、商品づくりで大切なのは、機能や素材などの「モノ」ではないという事です。もし、機能や素材が売れるための重要な要素だったら、強度が弱くてすぐに画面が割れてしまうiPhoneは流行しなかったはずです。
大切なのは
機能や素材ではなく、その背景にある商品への想いやこだわりの理由です。
想い・こだわり・理由にお客様は共感するのです。そして、もう1つ重要なことは、
最初から完璧を目指さないことです。世の中に完璧な商品はない、と心に留めておくことです。売れ続けているiPhoneも、いままでに何回、新商品をリリースしているかを考えると完璧な商品がないことは明らかです。もし、完璧な商品があるのなら、これほどアップグレードし続ける必要はないと思いませんか?ぜひ、住宅商品づくりにおいても、まずは完成させてリリースした後に改良し続けてください。
まとめ
・世の中に完璧な商品はないと肝に銘じる
・素材や性能にこだわるのではなく、コンセプトや考え方にこだわる
・商品づくりの背景にある想いに、人は共感する
・まずは住宅商品を完成させて、リリースした後に改良する