暮らしを疑似体験する“バーチャル”住宅展示場ハウスメーカー
外出自粛でも見学可能な住宅展示場
新型コロナウイルス感染症の影響で住宅展示場等での対面による接客が困難となる中、住宅会社各社では、WEBを活用しながらリモートによる集客を実施し、在宅で見学や住まいづくりを促すための取り組みが広がっています。
ヘーベルハウスを展開する旭化成ホームズでは、日本ユニシスが提供するバーチャル住宅展示場「マイホームマーケット」を営業ツールとして採用しています。「マイホームマーケット」は、VR技術を活用してモデルハウスを内覧することができるサービスで、平面図では把握しづらかった暮らしのイメージや、間取りのコンセプトを体感的に理解することができます。また、検討客自身のスマートフォンや、タブレット、パソコン等の様々なデバイスで利用することができるため、都合の良いタイミングで家づくりを進めることが可能となっています。
旭化成ホームズでは2019年5月から、厳選した間取り・仕様を揃えたセレクト型の企画商品「マイデッサン」を販売しています。「マイデッサン」は、ユーザーが好きな時間にスマホ・タブレット等を用いて、間取りや設備、インテリアを選択していくという商品です。このような企画商品において、より空間の魅力を伝え、商品の理解を深めるために採用したということです。同社では、現在ホームページ上に9棟のバーチャル住宅展示場を掲載している他、ビデオ通話を使った住まいづくり相談も受け付けています。
“Withコロナ”で活用進むSNS
兵庫県神戸市に本社を置き、近畿、関東、中部、中国地方に営業エリアを展開するビルダーのヤマト住建では、“Withコロナ時代”に向けた対策として、オンライン面談や動画配信を積極的に活用する等の施策を強化しています。接客時には、従業員のマスク着用や除菌を徹底するのはもちろんのこと、打合わせテーブルにはクリアカーテンを設置し、対面接客でも安心して打合わせができるようにしています。また、来場が難しいユーザーには、オンライン面談を活用した打合わせを可能としているということです。
同社では4月18日より、Instagramのライブ配信機能を使って、各地のモデルハウスをユーザーの自宅から見学することができる「バーチャルモデルハウス見学」を実施しています。同社は、会社としてのInstagramアカウントを運用しているほか、各地の店舗・モデルハウス毎でもアカウントを作って運用しています。ユーザーは、見学したい店舗・モデルハウスのアカウントをフォローすることで、「バーチャルモデルハウス見学」のライブ配信を視聴することができます。また、Instagramのコメント機能を使い、暮らし方や住まいづくりについてのユーザーからの質問や見学の要望にも応え、双方向でのやり取りを可能にしているということです。
“理想の暮らし”を疑似体験するモデルハウス
東京都国分寺市のリガードでは、モデルハウスの見学をバーチャル体験するのではなく、モデルハウスに仮想の家族を用意し、住まいにおける家族との理想の暮らしを疑似体験することができる見学会を実施しました。2019年11月に実施されたモデルファミリー付きモデルハウス体験会は、来場客が「3人家族の父親」という設定で、用意されたシナリオに沿って、暮らし方を体験していくというものです。
モデル内では、妻と娘からなるモデルファミリーとともに、ホームパーティーの準備をしたり、娘と工作をしながら遊んだり、妻と将来のことについて話し合ったりといった、多くの人が幸せを感じる瞬間を、家のデザインや機能に触れながら体験することができます。シナリオは、モデルハウスの開発に携わった建築家や営業担当者の意見を集約し、想定する家族像や暮らし方のイメージから構築しています。また、妻役と娘役はオーディションで採用し、シナリオ通りに演技できるのはもちろんのこと、ハプニングが起きてもアドリブで対応できるようにプロの演出家が指導することで、よりリアルに理想の家族との暮らしを体験できるようにしたということです。
体験会は1日限定5組の募集だったこともあり、募集開始後すぐに申込みが定員数を超えるほどの反響がありました。同社では、今回の企画で寄せられた声をもとに今後の商品開発やサービス向上につなげていく考えです。
(情報提供:住宅産業研究所)