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2019年12月09日

5年後、10年後を見据えたビルダー生き残り策【1】経営・人材育成

mba消費増税前の駆け込み需要があった前年から反転し、2019年度の住宅市場は徐々に厳しくなってきています。持家着工は駆け込み受注分の着工があったため8月までは前年同月比プラスを維持していましたが、9月にマイナスに転じました。

大手ハウスメーカー10社の受注は、4月から前年同月比マイナスが続いています。10社平均で見ても、ハウスメーカー個別で見ても、4月以降は前年同月比で10%以上受注を減らしている月がほとんどです。2019年度通期の住宅着工戸数は90万戸弱という予測を立てているシンクタンクが大半で、2020年度以降も住宅需要が大きく上向くような要素は乏しい状況です。住宅市場は本格的な縮小期に突入しつつあると言えるでしょう。

住宅会社、特に中小のビルダー・工務店は、短期的な集客・受注の計画だけでなく、5年後、10年後を見据えた中長期的な経営計画を考えないと、生き残りが厳しくなってきます。住宅会社の売上のベースとなるのは販売棟数です。市場縮小期において棟数を維持・拡大する方法は、単純に考えると2種類です。

一つはエリアを拡大すること。現在の営業エリアに加えて新たなエリアに営業拠点を設け、そこで受注を取れれば棟数を上乗せできます。ただし、エリアの拡大は営業拠点、人員の確保、広告宣伝等の先行投資が少なくないため、リスクも大きい方法です。もう一つは商品バリエーションを拡充すること。商品の種類を増やして、今とは異なる新たな客層からも受注を獲得できれば、現在の営業エリアの中でも棟数を増やすことができるかもしれません。


マルチブランド戦略


商品バリエーションの拡充の最近のトレンドは、マルチブランド戦略です。これまでの住宅会社の商品展開の考え方で多かったのは、基本となる自由設計商品に加えて、設計の手間が少なく仕様部材を統一できる規格住宅で下の客層を、性能や仕様のグレードを高めてデザインにもこだわる上位商品で上の客層を狙うという考え方ではないでしょうか。これに対し、マルチブランド戦略は、価格帯別に商品の幅を広げるのではなく、異なるコンセプトの商品ブランドを複数持つという考え方です。

現在の住宅購入層の中心である30代のミレニアル世代は、モノ消費よりコト消費の世代と言われています。家もモノで選ぶのであれば、性能・仕様と価格で比較検討することとなりますが、コトで選ぶ場合は趣味嗜好によって需要は多様化します。そこで、「自然素材とカフェテイストの内装」、「西海岸風のデザイン」、「アウトドアを楽しむライフスタイル」、「DIYで住みながら完成させる家」のように、コンセプト別に商品ブランドを展開することで、多様化する住宅需要への対応力が高まります。同じ商品の中で様々なテイストのバリエーションを展開するのではなく、それぞれを独立したブランドとすることで、それぞれのブランドに合った広告宣伝や集客、商談の進め方ができ、成約率が高まります。

すでにマルチブランド戦略を進めて受注を増やしているビルダーでは、中長期的な事業戦略も視野に入れています。ブランドごとに別の営業組織を設けるということは、社内のポストが増えるということです。育ってきた若手・中堅社員が就けるポストが増えることは、モチベーションの向上や、新入社員が目指すロールモデルとしても有効です。若手社員を中心に新ブランドを企画するプロジェクトを立ち上げることで、社員の育成にもつながります。各ブランドの事業部を独立採算制としておけば、将来的に持株会社制・分社化にも移行しやすくなります。

マルチブランド戦略で代表的なビルダーが、北海道のジョンソンホームズです。輸入住宅の「インターデコハウス」、自然素材の「ナチュリエ」、家へのこだわりの少ない若年層向けの「コージー」等、複数のブランドを展開し、自社で展開する家具・インテリア事業、飲食事業等とそれぞれの商品ブランドをリンクさせて、広告宣伝やブランディングを行っています。同社の母体である北海道のヤマチユナイテッドグループでは「100 VISION経営」という指針を掲げ、住宅、建材製造、デイサービス・リハビリ、イベント事業等を展開し、将来的には100種の事業でグループ売上1000億円という大きな目標を掲げています。

それぞれの事業は独立採算としながら、一つの会社のように運営する経営手法を「連邦・多角化経営」として、トップダウン型でなく社員が自主的に経営に参加すること、各事業の関連性を強めビジョンを統一すること、グループ全体をブランディングすることを推進しています。同社では、中小企業こそこのような経営手法を取ることで、リスクを分散して各事業の相乗効果を生みながら安定した経営基盤を築き、人材の採用・育成の面でもメリットがあると示しています。

(情報提供:住宅産業研究所)

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