前回は、コロナ過で展示場の予約来場が一般的となり、
「複数の会社のモデルハウスを比較して見られる総合展示場」よりも、
「複数のモデルハウスを見せる1社単独展示場」の需要が
高まりつつあるというトレンドをご紹介しました。
総合展示場・単独展示場という常設型の集客拠点を持っていない
ビルダー・工務店の場合は、完成見学会が主な集客源となりますが、
見学会のトレンドにもコロナ禍による変化があると思われます。
まず見学会を見せるか、事前にファン化するか
完成見学会の集客も完全予約制で受け付けるのが一般的となってきています。
時間を区切って1組ずつにじっくり接客できる予約制見学会によって、
いつ・誰が・どれだけ来るのかわからない見学会会場で
終日待機するよりも受注効率が高まったと感じている
ビルダー・工務店は少なくないでしょう。
ホームページからの予約が基本となるため、
広告宣伝も見学会会場周辺エリアへの折込チラシ・ポスティングよりも、
WEB広告にかけるコストの比重を高めることで、
広告費の削減にもつながります。
ここで考えるべきことの一つは、
WEB広告からのコンバージョンを「予約来場」で取るか、
「資料請求」で取るかです。これはどちらも正解で、
WEBで情報収集をしている見込み客を、
直接会える商談客に変えるために
「予約来場」の数にこだわるというのは一つの方法です。
一方で、まずは「資料請求」に対して他社よりも
充実した内容の資料を送付し、
メール等のインサイドセールスによってファン化した上で
見学会に来てもらうことで、商談数当たりの契約率を高める
という考え方もあります。自社の商品や商談の進め方に合わせて、
WEB広告のKPI(重要業績評価指標)を計画しましょう。
非対面/非接触型の無人見学会が普及する?
ポストコロナの新生活様式における消費行動のキーワードが
“非対面・非接触”です。
人と人との対面・接触によるウイルス感染を予防するために、
小売り業ではeコマースの利用者が増え、
実店舗での買い物でもQRコードやICカードによる
非接触型の支払方法が普及してきています。
宅配業では宅配ボックスや置き配の利用者が増えているようです。
住宅営業の集客における“非対面・非接触”では、
モデルハウスに遠隔操作できるスマートキーを設け、
予約時間になると見学者のスマホにキー解除の方法を通知する、
あるいは遠隔でキーを解除するという方法で、
営業マンが同席しない“無人見学会”を実施する住宅会社も
増えてきています。
無人のモデルハウス内にタブレット端末を置いておいて、
営業マンにリアルタイムで質問できるようにしたり、
接客用ロボットを設置しているケースもあります。
ケイアイスター不動産グループのカーザロボティクスでは、
北関東を中心に展開している平屋商品「IKI」の展示場12会場全てで
無人見学会を実施しています。昨年6月からは無人見学会の
リモート接客専任部署を新設して対応力を強化しています。
昨年6月~9月の無人見学会の申込件数は、
その前の4ヶ月と比べて約3.3倍となり、
9月の受注件数のうち約36%が、
無人見学会でのリモート接客を体験した顧客であったということです。
営業マンに接客されるのではなくマイペースに見学したい、
小さな子どもがいるので他の見学者や営業マンに迷惑をかけずに
見学したいといった需要は以前からあったと思われますが、
その需要がコロナ禍によって顕在化し、
無人見学会の人気が高まっているということでしょう。
ただし、無人見学会は対面での接客ができないため、
その場で商談を進めにくいというデメリットはあります。
「会わずに集客した見込み客」を「会って話を進める商談客」に
変えるため、「次は営業マンに会って話を聞きたい」と
思ってもらえるような勉強会・セミナー、
見学会などのイベントを企画して、モデルハウス内へのチラシ設置や、
ホームページへの誘導から予約につなげるようにしましょう。
顧客管理とインサイドセールスの重要性も高まることも意識しましょう。
(情報提供:住宅産業研究所)