近年、地球規模で頻発する自然災害を受け、
気候危機への対策は喫緊の課題となっており、
緩和対策の一つとされる脱炭素社会の実現は社会全体の課題となっています。
住宅業界では、
大気中の二酸化炭素を吸収・固定する木材の活用が注目されています。
今回は住宅会社各社による木質系住宅について取り上げます。
低層住宅向けの高断熱・高気密木造戸建ブランド
旭化成ホームズは、
高断熱・高気密の木造低層戸建住宅で、
都市近郊から郊外の低層住宅地での新しいライフスタイルを提案する
新ブランド「Asu-haus（アスハウス）」を立ち上げました。
５月10日より先行限定販売を開始し、
６月1日には東京都日野市に宿泊体験にも対応する
モデル棟をオープンしています。
鉄骨住宅を展開する同社では、
「木造建築が脱炭素社会の実現に資する重要な環境貢献事業である」
との認識のもと、
2023年にはオーストリアに本社を置く
「CREE Buildings」との提携契約を締結し、
非住宅を想定した木材と鉄骨の
ハイブリッド環境建築の構法研究・開発を開始しています。
また、2022年からは官民連携の株式会社ニセコまちによる
社会・経済・環境を循環させる先進的なまちづくり
「ニセコミライ」にも出資しており、
北海道の厳寒地域で長く・快適に暮らすことを想定した
高断熱・高気密な木造建築のノウハウを学ぶことなどを通じて、
今回の「Asu-haus」ブランドの立ち上げに至ったということです。
「Asu-haus」の特徴は、
熱伝導率でトップレベルとなる断熱材ネオマフォームで、
１階床から屋根まですっぽりと建物を包み込むことで、
室内の温度環境を快適に保っています。
また、屋根・外壁・床部および開口部に独自の断熱構造を設定した
「ASU-断熱工法」により、
国内最高レベルの断熱性能を実現し、
断熱等級7を標準としています。
構造は、木造軸組工法（平屋～２階建て）で、
シンプルな切妻屋根と葺きおろし屋根を採用。
外壁は土壁を意識し、
古民家を思わせる外観デザインにしているということです。
また、耐震等級３、耐風等級２を取得可能ということで、
レジリエンス性も高めています。
空調には、家庭用エアコン１台を稼働させる全館空調を採用。
１階と２階に小型エアコンを１台ずつ設置し、
夏には２階のエアコン、冬には１階のエアコンを稼働させることで、
効率的に空気を循環させ快適な温室度環境を実現しています。
「Asu-haus」の販売エリアは、
東京都城南・城西地区、都下の一部としており、
販売価格（坪単価）は135万円からということです。
2024年度は16棟、2025年度は25棟を上限とする限定販売となっています。
工場生産技術を生かした高耐震・高耐久な住まい
積水化学工業は、
木質系住宅「グランツーユーKOnoMi（このみ）」を６月20日に発売しました。
同商品は、昨今の光熱費高騰や脱炭素社会の実現のための
省エネニーズの高まりや、大規模地震の頻発化により
安心・安全な住まいの重要性も再確認されているということから、
木造住宅でもこうしたニーズに応えることを目指して
開発された商品ということです。
コンセプトは、木のぬくもりの魅力が感じられる
「あたたかさ」、「さわやかさ」、「ここちよさ」となっています。
さらに家づくりの大半を工場で行う独自の工場生産技術
「２×６ユニット工法」により、
高い耐震性と耐久性を確保。
災害に強く、長く安心して暮らせる住まいになっているということです。
２×６材で構成する壁厚の大きい躯体に、
高性能断熱材や高断熱窓などを採用することで、
断熱等級6相当を実現する「あったかしっかり断熱」や、
高性能フィルターと熱交換機能で
快適な室内環境を確保する換気システム「空気工房」、
木のぬくもりのある室内と自然を身近に感じる屋外を
緩やかにつなぐ「うちそとテラス」により、
快適で豊かな住空間を実現しています。
また、子育て家族や共働き世帯向けの人気のマルチスペースや
ファミリークローゼット、小屋裏等の収納スペースを備えた
プランを豊富に用意。
その中から敷地や住まい方に合わせた選択ができ、
さらに間取りや窓の位置、キッチン等の設備を好みに合わせて変更できる
セミオーダー型の商品となっています。
販売エリアは、北海道や沖縄、部離島地域を除く全国で、
年間販売目標は350棟としています。
(情報提供：住宅産業研究)
